ミニチュアのニスを調査【マニキュア編】

ニス 材料・道具

お世話になっております。ざきおです。

今回からミニチュア制作の仕上げに使うニスの成分について調査をしてみます。

曲がりなりにも化学専攻をしてきた理系おじさんなのでニスの成分について少し詳しく調査していこうと思いますのでよろしくお願いします。

今回は油性のニスであるマニキュアを中心に調査しております。成分等が気になる方は是非ご覧ください。(逆に小難しいことを書いているので苦手な方はすみません。)

この記事を書いた人

ミニチュア作りを始めたおじさんです
本業は化学メーカー勤務。理系おじさんで芸術センスはありません
樹脂粘土を中心に小物を作っていきます

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ニスとは

そもそもニスの語源は英語の「Varnish(バーニッシュ)」が由来で、ワニス→ニスと呼ばれるようになったそうです。

Varnish(バーニッシュ)の意味は名詞的に以下の意味を持ちます。

  1. ニス、ワニス
  2. ニスの光沢面
  3. うわべの飾り、ごまかし

これらの意味から考えるとPaint(ペンキ、塗料)とのニュアンスの違いとして

ニスは「最表面に塗る上塗り剤(透明・半透明)」であるという点が考えられます。

よって、ニスは材料の最表面を保護し、透明(半透明)な膜を形成する材料であるといえます。

ニスの大分類

まず大きく分類されるのが「油性ニス」「水性ニス」です。

含まれている希釈剤の種類によって分類されます。

油性ペンや水性ペンをイメージすると分かりやすいかもしれません。

項目油性ニス水性ニス
希釈剤有機溶剤
臭気刺激臭ほとんどない
仕上がり非常に良い良い
危険性高い低い
取り扱い面倒簡単

特徴を比較してみると分かる通り、個人の趣味等でミニチュア制作をする場合には

絶対に水性ニスが良いと思います。

油性ニスは危険物であることが大半であり、取り扱いによっては火災等を引き起こす恐れがあります。また、掃除や洗浄も水洗いでは落ちないため面倒なことが多いです。

油性ニス(マニキュア)

油性ニスは上に記載した通り、取り扱いが面倒であるという特徴からミニチュア制作ではあまり使わないタイプの材料になります。

しかし、唯一使われるものとして「マニキュア」があります。

ニス

私もミニチュア制作を始めるときには100円ショップのマニキュアをニス代わりに使用していました。

手軽に購入できて、一緒に刷毛もついているので初心者には良いですよね!

ではこのマニキュアの成分を見ていきましょう!

成分一覧

私が100円ショップで購入したマニキュアの成分表示を示します。

ニス

真ん中くらいの「成分:~」から具体的な成分が表示されています。想像よりもたくさんの材料が含まれていますね。下に表でまとめました。

マニキュアの組成

大きく分類すると「有機溶剤、樹脂、可塑剤、染料」で構成されていることが分かります。

有機溶剤が揮発し乾燥することで塗膜化する「ラッカー」と呼ばれるタイプに分類されます。

塗膜化イラスト

上記図のように有機溶剤が揮発するだけなので、樹脂同士が結合(架橋)して塗膜を形成しているわけではありません。よって、塗膜化後に有機溶剤(除光液など)をかけると乾燥前の状態に戻ります。

【成分詳細】有機溶剤

初めの3つの成分「酢酸エチル、酢酸ブチル、イソプロパノール」が有機溶剤になります。マニキュアを塗った後に塗膜からいなくなることで硬化します。

この3つの有機溶剤は常温で揮発し、非常に速乾性が高いものです。

マニキュアは独特の臭気(エステル臭)があると思いますが、これら溶剤の臭いが原因です。

(低濃度であれば果実臭ですが、高濃度であると不快な刺激臭になります)

厚生労働省が出している資料の中では、これら有機溶剤が全成分中の70~80%程度であるという情報もあり、高濃度で含有されています。

静電気等でも容易に引火しますので取り扱いには十分注意してください。

【成分詳細】樹脂

樹脂は有機溶剤が揮発した後、塗膜の主成分となります。

今回のマニキュアは「ポリエステル樹脂、ニトロセルロース、酢酸/酪酸セルロース」が含まれています。

ポリエステル樹脂は「(○○/○○)コポリマー」と記載のある成分で、オイルフリーアルキド樹脂とも呼ばれる成分であると推測されます。安価で性能が良いのでメイン成分として含まれているのだと思います。

ニトロセルロースは硝化綿とも呼ばれ、単体では火薬の原料となる成分で取り扱いに注意が必要な物質です。ただし、マニキュアは他の樹脂成分や添加剤等が含まれているので急に爆発したりはしないので心配しなくても大丈夫です。

このニトロセルロースの膜は光沢があり硬いですが、同時に脆いので他の柔軟性のある樹脂と併用して使われていると推測されます。(今回の場合はポリエステル樹脂)

酢酸/酪酸セルロースは上記ニトロセルロースの危険性を低減させた樹脂になり、膜の性能はニトロセルロースと似ています。よって、危険性を低下させるために加えられていると考えられます。

以上の情報をまとめると、これらの樹脂はツヤがあり硬い塗膜を作るために配合されていると推察されます。

【成分詳細】可塑剤

可塑剤とは樹脂に柔軟性を与え、塗膜の耐久性や加工性を高めるために加える添加剤となります。

可塑剤が樹脂の間に入り込み、塗膜が硬く脆くなるのを防いでくれます。

可塑剤の役割

ではなぜこのマニキュアに3種類も可塑剤が含まれているのか、私見を交えてを考えてみます。

各可塑剤の構造や特徴を見てみると、樹脂の種類により相性の良い可塑剤が存在し、以下のような組み合わせを考えて配合されていると予想します。

 ポリエステル樹脂 ⇒ 安息香酸スクロース (フタル酸と安息香酸)

 ニトロセルロース ⇒ 樟脳 (ネット情報より過去から利用されている)

 酢酸/酪酸セルロース ⇒ クエン酸アセチルトリエチル (エステル基による親和)

とはいえ、いずれも樹脂に柔軟性を与える役割という部分は共通しています。

【成分詳細】染料

染料は色を付けるための着色剤となります。

紫201は青みの強い紫色の着色剤であり、有機溶剤等に可溶な成分です。

このマニキュアは透明なのになぜ紫色を加えているのでしょうか。これも私見を交えて考えてみます。

一般的に樹脂は無色透明をしていることが多いですが、一部には淡黄色の樹脂も存在します。(そもそも黄色い樹脂である、低品質で不純物等が多く黄色い等)

よって、染料を加えない状態の場合、少し黄色味がかった塗膜になってしまい、非常に見た目が悪くなると予想されます。

色相環を参考にすると、樹脂の黄色味を相殺し透明に近づけるために青紫系を加える必要が出ると推測されます。

色相環

もしかしたら、高品質なマニキュアは樹脂自体が無色透明のため紫の染料は入っていないかもしれませんね。おじさんなのでマニキュア自体には詳しくないため分かりません。。。

特徴まとめ

各成分からマニキュアの特徴をまとめます。

赤文字はメリット青文字はデメリットとなり得る特徴を示します。

① 速乾性が高い揮発性の高い有機溶剤が多く含まれる
② 強固な塗膜(物理的)硬い樹脂が使われている
③ 手軽に入手可能100円ショップ等で入手可能
溶剤や油に溶ける絵具や油性ペンの上に塗ると滲むことがある
危険性が高い引火性の高い成分が含まれている
⑥ 臭気が強い大量に使う場合は臭気対策が必要

マニキュアは速乾性が高く、強固な塗膜が得られる点は非常に優れています

しかし、最大のデメリットとして「アクリル絵の具」や「油性ペン」の上に塗ると滲んでしまう恐れがあります。

理由として、マニキュア(油性ニス)にたくさん含まれている有機溶剤は強い溶解力を持っているため、アクリル絵の具や油性ペンの成分を溶かしてしまうからです。

絵の具で着色した樹脂粘土であれば滲むことはないですが、筆などでデザインを描いている場合は気を付けてください。

まとめおよび次回

今回はミニチュア制作で使用される油性ニスの中でも「マニキュア」を取り上げて、成分の調査を行いました。

(※推測や予想は私見を多く含みますので間違い等ありましたら申し訳ございません。)

各成分を調査することでマニキュアの特徴をしっかりと把握することができました。自分も勉強になったので、今後の制作に活かしたいと思います。

次回はミニチュア制作にメインで使われる水性ニスについて調査していきます!

ここまで読んでいただき、ありがとうございました。

ミニチュア作りを始めたおじさんです
本業は化学メーカー勤務。理系おじさんで芸術センスはありません
樹脂粘土を中心に小物を作っていきます

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